2023年8月7日から僕は小説家になった
僕は、僕自身が小説家であることに気がついた。
2023年8月7日のことである。
突然、僕には小説を書く能力があるのだと確信したのだった。
小学生の頃から、小説家になりたくてたくさんの小説を読んできた。
何冊も小説の書き方やシナリオ理論の本を読んで、何回も何回も小説執筆に挑戦しては、結局何も形にすることができなくて、やっぱり僕には小説なんか書けるわけがない、小説家なんてのは特別な才能に恵まれた天才にしかできないのだと、挫折感とコンプレックスを抱えて生きてきた。
でも、今は違う。
毎日、僕は小説を書くことができている。
あれほど憧れていた小説家になることができた。
僕は大体朝5時に目が覚めるので、家族が起きてくる朝7時までの2時間、MacBook Airを開いて、40字×40行の縦書きに設定したPagesで文章を紡いでいる。
これまでの人生の分岐点を考えると、大学進学、就職、結婚、長男の誕生、長女の誕生があった。大学生となり、地方公務員となり、夫となり、父となり、もうこれ以上何かになるということはないと思っていたが、35歳にして小説家になった。
文章なんて下手くそでいい。
ストーリーが陳腐でもいい。
不可能犯罪や密室殺人などの本格ミステリーにこだわらなくていい。
評価されなくていい。読まれなくていい。
ひたすら、僕にしか書けないことを、僕が書きたいように書けばいい。
言葉にしてみればたったそれだけのことだった。
だから僕は、明日も小説を書く。